Sanpouji Storyteller

交錯する都会の中で織りなす5人の男女の物語

眼鏡とベストとギンガムチェック(24)-嵐の章Ⅴ【終】

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第24章(最終章)

 

城二・銀・タクミ・プラス新戸比沙子の四人は沖縄にいた。
なぜ沖縄で作戦会議かと言うと、周りに知り合いが居ないこと、
城二と銀が水面下で、会社乗っ取り阻止の計画を立てているのを、中村専務ひいてはファンドの連中に悟られたくない事であったが一番は、城二も銀も海が好きで、遊びたかったと言うのが真相なような気がする。
まず何処に加工の依頼をするかである。
其れについては、緋沙子が以前より乞いにしている福井の鯖江市にある工房セントラルに頼む事に決まった。
早速連絡を取り会議に加わって貰った。
工房セントラルに対し此方が出した条件は、一週間以内にデザインを忠実に再現し完成させる事、ただこの一点である。
それに対し工房からは二つ返事で了承をえられた。

 

 「サァー! 忙しくなるぞー」
城二のこの一声から話は急展開で繰り広げた。

緋沙子はセントラルに向かい早速準備にとりかかった。
城二と銀は、佐藤忠商事のTOBを阻止すべく大株主の囲い込みに動くと同時に、あるミッションの遂行する為に本社のある大阪へと向かった。

あれから一週間、夢の眼鏡としてプレスリリースを遂げると狙い通り風向きが一変した。
佐藤忠に流かけていた風が止み、大株主がTOBには応じず乗っ取り計画は頓挫した。
専務の中村は当然失脚し、中村に加担していたプロジェクトメンバーも解雇された。

これにより改めて再び、当月堂は一本化された。

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銀はと言うと、創業家一族と言う事もあり、当月堂の営業本部長を経て、専務に就任した。
一方、城二はと言うと、当月堂を離れ2年が経過していた。
何故、城二が当月堂を離れたかと言うと、TOB阻止の会議の後、城二と銀によるプロジェクトに由来する。

このプロジェクトの仮称が「独立プロジェクト」であるからだ。
二人は最悪のケースを考え、夢の素材だけは何としても守り、世に出してやりたいとの思いから、新会社の設立を考え行動に移していた。

会議の後、社長に直談判に行き独立の計画を打ち明けていた。
結果として、最悪のケースにはならなかったものの、二人は独立と言う選択をとった。

と言っても独立会社の実質オーナーは銀である。
銀はよっぽど城二の事が気に入り、金は出すが口は一切出さないと言った具合に、友人付き合いを続けている。
新会社の名前は「ギンガムチェック
由来は、いろいろな人たちが折り合い重ねあうことにより新しい色を織りなして欲しいとの願いを込めて、当月堂の社長より命名された。
幹部社員として、タクミ・ジェームズ・ウィリアムを専務兼研究部主任に迎えMITとのパイプ役を担っている。
宣伝部部長兼チーフデザイナーに緋沙子女史を迎え、彼女の研究室にいた女子大生、恵と芳野は今や立派な緋沙子の右腕である。

今は、眼鏡プロジェクトが順調に進み軌道に乗っているが胡坐をかかずに第二弾として、服飾業界への参入を考えている。
例の素材を軸に型崩れのしない製品の開発である。
手始めにベストでも手掛けてみようかと城二がはっぱをかけるとそのまま会社を飛び出し例のMINIでドライブに出かけてしまった。

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最近ふとしたことから、銀と会った頃の事が重い出される。
銀との出会いは、やはり立ち食い蕎麦屋での一件であるがその後こんな事があった。

なあ銀この間そば屋では「ありがとな」と照れながら言うと
銀は「お前は、ほんとけんかっ早いな」とたしなめられた。
なあ銀そば屋と言えば大阪では蕎麦湯が無いって本当か、と尋ねると、無いことはないが、置いとる店は少ないでと言われた。
何故やと思う? それはな、出しが違うんやダシがな。
関東の蕎麦のダシとゆうたらかつぶしメインやろ? 
そんで汁にチョコンと付けて蕎麦をすする。
でも関西はちゃうねん、ダシは何んと言っても昆布や。 
昆布でダシとって甘めに仕上げる、そんダシん中にドボンと付けてすするんや。そんでかえし汁飲みたかったらはそのまんま飲めるんやで。と蕎麦講釈を聞かされ、なんかむかついた。

等と思いながら二人の関係は面白可笑しく、付かず離れず続くので有ろう。

 

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あとがき
何とか最終章書き終えることが出来ました。
皆様楽しんで頂けましたでしょうか?
色々構想当は有ったのですが、作者の文才のなさや、時間の制約等により、御都合主義が入り、かなりの部分はしおり前後の部分でつじつまが合わない当御見苦しい点が多々あったと思いますが、そこは素人の処女作と思い寛大な解釈に期待いたします。