Sanpouji Storyteller

交錯する都会の中で織りなす5人の男女の物語

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

眼鏡とベストとギンガムチェック(23)-羽の章<エピローグ> 

// エピローグ ~吾郎の憂鬱~ 「ピンポン~、ピンポン~」 玄関のドアフォンが何度も鳴っている気がした。でも眠気が勝って起きようとは思わなかった。 「ピンポン~、ピンポン~」 「うるさいな…」と思いながら、ソファーから起き上がって、壁にあるモニタ…

眼鏡とベストとギンガムチェック(22)-水の章Ⅴ【終】

// 第22章 鏡の前でもう5分迷っている。白にするか青にするか。先にスカートを決めてしまったのが間違いかな。 いや、でももう時間もないし…よし、決めた。バタバタと時間ギリギリで支度を終えた。普段ならこんなに悩まないけど今日は凌ちゃんが来る日だから…

眼鏡とベストとギンガムチェック(21)-海の章Ⅴ【終】

// 第21章 (12)桜の季節に どこからか桜の花の香りがしてくる。 それがいったいどこなのかを特定することはできないが、桜の季節というのは、たくさんの花たちが発するあの柔らかい香りで東京は包まれる。 ユージは、この街が、ほんの少しだけ優しくなっ…

眼鏡とベストとギンガムチェック(20)-霞の章Ⅴ【終】

// 第20章 次の予定がどうのこうのと、ごにょごにょと呟いて新島が退散するのを笑って見送り、SP藤木のテーブルに紙幣を置き、そのコスプレを褒め讃えて武は店を出た。そして、美佐に電話をしようとスマートフォンを取り出すと、美佐からメールが入っていた…

眼鏡とベストとギンガムチェック(19)-嵐の章Ⅲ

// 第19章 城二と銀が成田に着いた時一報が飛び込んで来た。なんと専務の中村によるクーデターである。中村は数年前、大手商社佐藤忠商事からヘッドハンティングで我社に入社した人物である。その中村のバックには投資ファンドが付いておりそのファンド自体…